フラダンスは今ちっとしたブームのようである。私がバレエを教えている会場にもフラダンスのサークルができて、ときどきはバレエの予約ができないほどだ。一つだけかと思っていたら、同じような名前のサークルがいくつかあって、親子で練習しているところもある。市の文化祭には老いも若きもいかにもハワイからやってきたといった格好で楽しそうに踊っていた。


 私の中学時代の親友も二年ほど前に近所のフラダンスのサークルに入ったと年賀状で知らせてきた。彼女はそれまでダンスなどに興味を持っていなかったので私は少し驚いた。翌年は自作の衣装で発表会に出て、有名なハワイアンソングを踊ったと書いてきた。この間、会ったら、今度は本格的にフラダンスをダンススタジオに習いに行くようになったという。

それに加えて、やはり週一回ウクレレを習い始めたそうだ。
 こんなにフラダンスが流行るのは、南国らしいハワイアンの調べに乗って、ゆったり踊る感じがいいのだろうか。それにステップは友人でもできるぐらいだから案外簡単なのだろうか。機会があったら、私も踊ってみようかな。

 フラメンコは若いときから、習いたいと思っていた。いや、習いたいというよりは、踊ってみたかったのだ。バレエをしているので、スペイン風の踊りは何度か踊ったことがあったのだが、それはやはりバレエ作品の中の踊りであって、フラメンコとは違っていた。ギターに合わせて、足を踏みならし、カスタネットを片手に、それを叩いたり、両手を打ちならしたり、スカートの裾を巻き散らしたりして、樹熱的なフラメンコを踊ってみたかった。


 ある日、カルチャースクールで体験レッスンがあるというので、それに参加した。自宅からスタジオまでは車で1時間近くかかったが、フラメンコを習いたい気持ちが強かったので、気にはならなかった。体験といっても一時間のレッスンが10回ある。かかとの高いフラメンコシューズは先生から借りた。

最初に柔軟体操と手の練習。そのあとに延々足踏みの練習が続く。そして最後にほんの少しだけ、踊りらしいものを踊る。
 ほとんどが同じ場所でする。

しかも使うのはほとんど足だけなのだ。跳びたい。まわりたい。もっと自由に動きたい。

もっとレッスンに通えば、私の望んでいたような踊りを踊れたかもしれないが、そこに至る道はあまりにも遠そうなので体験だけでやめてしまった。でもフラメンコへの憧れはまだある。もう一度だけ、挑戦してみようか。